【左ボディの極意】試合の流れを変える「タメ」と「反動」の技術を元プロが解説

こんにちは！岡崎でボクシングジムを経営している、元ボクサーのみきやです。

今回は、パンチの中でも特に奥が深く、試合の展開を大きく左右するボディブローについて解説します。ボクシングは頭を打つスポーツと思われがちですが、実はこのボディが試合の行方を決める重要な鍵を握っています。

特に今回は、私が選手時代から得意としていた「左ボディブロー」に焦点を当て、その威力を最大限に引き出すための「タメと反動」の技術を、実戦での活用法と合わせて詳しくお話しします。

ボディブローの価値は、単にKOパンチになることだけではありません。ボディが試合に与える影響は非常に大きく、戦略的な役割を果たします。

スタミナを削る: 腹部へのパンチは内臓にダメージを与え、相手のスタミナを徐々に、しかし確実に奪います。試合後半になればなるほど、このボディブローの蓄積が相手の動きを鈍らせます。
動きを止める: 強いボディブローは、相手の動きを一瞬、あるいは長時間フリーズさせることができます。このわずかな隙が、次の決定的なパンチを打ち込むチャンスを生み出します。
ガードを下げさせる: 意識的にボディを攻めることで、相手は頭部だけでなく腹部もガードせざるを得なくなります。これにより、顔面へのガードが手薄になり、ストレートやフックが当たりやすくなります。

このように、ボディは試合を有利に進めるための、非常に重要な戦略パンチなのです。

以前、私の得意なボディストレートを紹介しましたが、今回は左ボディに注目します。左ボディの威力を劇的に高めるために、私が意識していたのは、以前の投稿でも紹介したフックの技術と同様に、「ダッキングからのタメ」です。

左ボディの威力を高めるためには、パンチに体重を乗せることが不可欠です。

前足に体重を乗せる: パンチを打つ前に、一度前足（オーソドックスなら左足）に体重をしっかり乗せて「タメ」を作ります。
反動で体重を乗せる: フックのタメと似ていますが、今回は体を沈める動作（ダッキング）から体を起こす反動と、前足に乗せた体重をそのままパンチに伝えるように打ち込みます。

こうすることで、タメがある分、ただのパンチでは出せない重みと破壊力が生まれます。当たり前といえば当たり前ですが、このタメの有無がパンチの強さを大きく左右するのです。

ダッキングからのボディブローは強力ですが、タメを作る分、相手に見切られやすいという弱点もあります。そのため、実戦で成功させるには工夫が必要です。

コンビネーションに混ぜる: 単発で打つのではなく、ワンツーやジャブからのコンビネーションに混ぜることで、相手のガードが上がった隙や、意識が顔面に向いている一瞬を突くことができます。
カウンターで打つ: 最も効果的なのが、相手の右ストレートのカウンターで打つことです。相手がパンチを打ってきた動きに合わせてダッキングでかわし、そのまま左ボディを打ち込むのは、成功率が高く、相手に与えるダメージも大きいです。

これらの工夫を取り入れることで、左ボディブローの成功率が格段に上がります。